気象病について説明する飯島慶郎院長=出雲市大社町杵築東、出雲いいじまクリニック
気象病について説明する飯島慶郎院長=出雲市大社町杵築東、出雲いいじまクリニック
気象病について説明する飯島慶郎院長=出雲市大社町杵築東、出雲いいじまクリニック

 急な大雨など気象の変化に伴い、頭痛やだるさなど体の不調を感じることはないだろうか。それは「気象病」かもしれない。「出雲いいじまクリニック」(出雲市大社町杵築東)の飯島慶郎院長(44)=心療内科、漢方内科=は、日常的な運動が予防につながる、と指摘する。 (坂上晴香)

 気象病は、気象の変化に関係があると考えられる病症の総称。インフルエンザや花粉症、冬に多い脳出血など季節に関わる病気は気象病の一つだ。ここでは病名の付かないだるさやむくみなどを取り上げる。

 主に気圧、気温、湿度の三つの変化が影響する。季節の変わり目や梅雨、台風の時期に発症することが多い。気圧の変化を耳の内側にある器官「内耳」が感知し、自律神経の中枢となる脳の視床下部に伝わることで自律神経に負荷がかかり、体調不良を引き起こすことが、この10年で分かったという。

 先天的に気圧の変化を敏感に感じやすい人もいれば、ストレス過多などで過敏になる人もいる。女性は月経があるためホルモンバランスが変化しやすく自律神経を崩し、より影響を受けやすい。要するに誰でも起こり得る病症だ。

 飯島院長は、日照の変化による光の強さも気象病を誘発していると考えており、特に曇りが多く、日照が不安定な山陰地方は、体調を崩す人が多い印象があるという。

 予防は日常的な運動で汗を流すことで自律神経を鍛えられる。東洋医学的に、水分の代謝異常は体の不調を引き起こすとされており、サウナで汗を流すなど温冷を交互に感じて自律神経を整えることは、効果的な予防法だ。

 症状が出ているときは、漢方薬が有効。環境の変化による不快や熱中症に広く効くとされる「五苓散(ごれいさん)」、めまいや頭痛の症状に効果がある「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」が用いられることが多く、地域の薬局でも薬剤師や登録販売者への相談を通して購入できる。

 市販の頭痛薬は鎮痛剤なので痛みには効くが、気象病の治療に効果的とはいえない。飯島院長は、気象病と片頭痛は原因が重なる部分があり、片頭痛の治療をすると気象病にも対応できるケースが多いという。

 最近は、気圧変化をグラフで示し体調を予想できるアプリもある。「どうしようもないと抱え込まず、対策方法を実践してほしい」と呼びかける。